ピリオド楽器コンクール2023観戦&取材日記 by月刊ショパン【1日目 10月6日】

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昨日のオープニングコンサートから一夜明けて、ついに第2回ショパンピリオド楽器コンクールが始まりました。朝10時から審査が始まり、夜9時半ごろに終了。12人のコンテスタントが演奏しました。

第1ステージ、第2ステージの会場となるのは、昨日のオープニングコンサートや本家ショパンコンクールの本戦が行われるワルシャワフィルハーモニーホールに併設されている「室内楽ホール」。400席ほどのホールです。



▲出演者ごとに使用楽器と台数が異なります。ただいま楽器の入れ替え中


第1ステージの課題は以下の5曲。

  1. バッハ《平均律クラヴィーア曲集》より任意の〈前奏曲とフーガ〉1曲
  2. モーツァルト《幻想曲 ニ短調》または《ロンド イ短調》
  3. ショパンの初期のポロネーズ作品より1曲
  4. ポーランド人作曲家(クルピンスキ、エルスネル、オギンスキ、シマノフスカ)作品より任意の1曲
  5. ショパン《バラード ト短調》op.23、《バラード へ長調》op.38、《バラード 変イ長調》op.47、《バラード へ短調》op.52、《舟歌 嬰ヘ長調》 op.60

そして、2つ以上のピリオド楽器を用いることが条件となっています。

そうすると、ステージには2台ないしは3台のピアノが並び、演奏者はその間を移動して演奏します。通常、ピアニストは一度ピアノの前に座ってしまえば、ステージ場を移動なんてしないもの。ピアニストが楽器間を移動する姿も、初めて見ると少し不思議なものです。

そして、普段なかなか音色を聴く機会のないピリオド楽器を聴き比べられるのがこのコンクールの醍醐味。なんとも贅沢なことです!

始まってみると楽器の音色の違いまず感動し、コンテスタントが変われば楽器が同じでも紡ぎ出される音色がさまざまなことに驚きます。また、演奏順にも規定がないのでバッハが最初に来ることがあれば真ん中に来ることもあります。楽器の順序もさまざまで、音量がしっかり出るエラールやプレイエルで終われば正解というわけでもなく、あえてそれ以外の楽器でしっとりプログラムを終わらせたコンテスタントもいて、そのセンスには脱帽しました!(もちろんそういった"あえて"を狙えば良いというものでもないので、難しいところではあります……)


はじめはこんなピリオド楽器を贅沢に聴き比べられるという激レアな状況にただただ感激していたのですが、だんだん疑問が湧いてきます。


\一体何をどう審査されるの〜?/



ピアノのコンサートなのでピアノの腕前を競うのはもちろんなのですが、どの曲をどの楽器で選ぶのかものすごくセンスが問われている……!

そして、当時の演奏様式に即して即興演奏を行ったり、楽譜にはない装飾を付け加えたりする出場者もいればそうでない出場者もいます。その他、演奏解釈は言うに及ばず。


休憩中にロビーで観劇中の皆さんとおしゃべりをしてお話をお聞きします。
Tさんいわく、「今回は課題にエチュードが入っていないので、超絶技巧を競うわけではないことは明らかなんですよね。だから何かどう評価されてラウンドが進んでいくのか注目です」とのこと。
コンクールといえばやっぱり超絶技巧で勝負なイメージ。しかし、そうではないコンクールってなんだか新鮮です。コンサートを聴くような感覚にもなります。

「誰が優勝するのか楽しみですよね」とロビーに居合わせたSさんに、Aさんが問いかけます。

するとSさんは、「いや〜コンクールなんかじゃないですよ。フェスティバルです。こんなにたくさんのピリオド楽器をいっぺんに聴けて、その上好きな演奏者が見つかったら、こんなにうれしいことはありません」とニコニコ顔。


▲入り口に掲示されているその日の出場者たち


特に2日目の明日は日本人コンテスタントが5人も出場します。彼らがどんな演奏を聴かせてくれるのか、そして他のコンテスタントにも注目しながら観戦を続けたいと思います。













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